ネットのライオン

よく読み よく書く

積み木のように

ルポルタージュを初めて書く場合の問題 沢木耕太郎は初めてルポルタージュを書くことになり、対象にいかに取材を承諾させるかを乗り越えれば99%が終わったものだと考えていたようだ。残りの1%である表現することは取材を承諾させられれば自ずと解決すると…

1クリックの魅力

日本でKindle端末が発売された初めての12月31日だからこそ感じたのかもしれない。Amazonの築いた1クリックの魅力というものだ。 商品の拡充、会員登録、クレジットカード登録、Kindle端末の販売の組み合わせることで可能になった。1クリックで本を購入でき、…

ニュージャーナリズムについて

ニュージャーナリズム作品に共通する志向 本章で沢木耕太郎がニュージャーナリズムの作品と見なしうるのは、汝の父を敬え〈上〉 (新潮文庫)、ベスト&ブライテスト〈上〉栄光と興奮に憑かれて (Nigensha Simultaneous World Issues)、最後の日々―続・大統領の…

肖像を刻む

「小さな巨人の肖像」という本 小さな巨人の肖像の真の著者は、写真を撮り、世に名を残すこともなく死んでいった世界各地の無名のカメラマン。著者としてのチュリ・クプフェルバーグとシルビア・トップは写真を集めようとし、それらを実際に収集しきったもの…

取材以前

素材とテーマを決定するルポライターの2つのタイプ 沢木耕太郎は、素材とテーマを決めるにあたって、2つの視点があると言っている。 ジャーナリズムの要請といった外発的な要因によって決定する 自身の興味と関心、つまり内発的な動機の有無によって決定する…

二輪の魔力

「非読書の話」とは? 読書した内容ではなく、わたしが日々体験した事や気持ちを文章にし紹介するためのカテゴリー。今回は今、教習所に通っているバイクのお話。 二輪の魔力 わたしは高校を卒業する前に、自動車免許をとっている。(ペーパードライバーとし…

完成と破壊

自らの「方法」への「疲労感」を、どのように突破できるか 沢木耕太郎は吉村昭の短編「羆」から長編「羆嵐」を読み、ノンフィクション作家として強烈な興味を覚えたそうだ。それは吉村昭がこの作品で抱え込まなければならなかった困難についてだそうだ。 ひ…

視ることの魔

プロ・スポーツの世界を愉しむ方法 沢木耕太郎いわく、プロ・スポーツの世界で、大事なことは闘う者にとってはいかに勝つか、視る者にとってはいかに愉しむかであるそうだ。 スポーツを愉しむためには知識や想像力が必要である。しかし、それ以上に大きな力…

なぜ「わたしら」を書くのか

「あなたは」はなぜ「わたしら」を書こうとするのか。 沢木耕太郎は取材している時に、取材される側の人からこのような問いがなげかけられることがあるそうだ。なぜ書くのか。 食うためには仕方がないのだ、と開き直らないかぎり、誰にとっても「書かなくて…

虚構の誘惑

「無名の人々をどう文字化していくか」 沢木耕太郎にとっての「どう文字化していくか」という問いは決して「無名の人をどうやって有名にするか」ではない。 「無名の人々の実名を書いて良いか」という意味だ。 わたしはなんでこんな初歩的な部分で悩んでいる…

紙のライオン

路上の視野〈1〉紙のライオン (文春文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1987/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (4件) を見る 沢木耕太郎というノンフィクション作家を知ったのは、仕事の関係で「紙のライオ…