ネットのライオン

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再び、ニュージャーナリズムについて

 ジャーナリズムにニューもオールドもない、あるのは良いジャーナリズムと悪いジャーナリズムの区別だけだ・・・・・・。それは充分に経験を積んでいるはずの年配のジャーナリストの発言だったが、私はそのときこの人はなんと幸せなジャーナリストなのだろうと思った。

 沢木耕太郎はニュージャーナリズムについて書いた小文が与える日本における影響を考えていなかったようだ。新しい方法が出た場合の古い方法を信じ続ける者の発言は、現代でも起きている現象のため刻々と情景を思い浮かべることができた。

 手段は変われど、昔も今も根本は何も変わっていないのだろう。

 彼は年配のジャーナリストの発言を正論と言いつつ、自らの仕事を露ほども疑ってみようとしないジャーナリストを、幸せというよりほかにいいようがあるのだろうかと反論している。

 

日本のニュージャーナリズム作品が過去の完結した事件を扱ったワケ

  • 日本における資料としてのドキュメントの少なさ
  • 日本人のシーン再現能力の欠如

 彼はインタビューをしながら、日本人の言葉の少なさを感じつづけていたようだ。とても納得のいく文章のため実際に本章を読んでもらいたい。文章という作品には日本の文化が大きく関わっていることを実感させられた。

 今後も「なぜそうなったのか」考える上で、「日本の文化・習慣」を考慮に入れる必要があるようだ。

 日本ではいち早くTwitterが流行ったように、短い言葉で厳密ではないが会話を成り立たせる日本語と日本人という視線は外せないだろう。

路上の視野〈1〉紙のライオン (文春文庫)

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