第1章、「働きたくない」というあなたへ
本書は、山田ズーニーさんが「働きたくない」という学生に、たまに出会うことがあることがきっかけで作られている。
「やりたいことが見つからない」のではない、なにか社会に拒否感があるわけでもない。ただ、はなから仕事に意義を見出せない、いや、まったく魅力を感じない、という風だ。
と彼女は「学生が働きたくない」理由をあげて、下記のような問いかけをしている。
「働きたくない」というあなたへ
仕事をもたないならそれでいい、と思うのだが、
では、「自由」はどうやって手に入れるのだろう?
自分の次なる「居場所」は、どう考えているのだろう?
彼女は「就職」は、社会と自分を「へその緒」で結ぶ行為で、「就活」は自分の次なる「居場所」の設計図を引くような行為だと言っている。
彼女は居場所がない恐怖を38歳の時、気がついたと言っている。会社をやめてフリーのライターになったことが原因だ。
平日の昼間、一件のメールも、電話も、一人の私を待つ人もいない。
連絡のない恐怖は味わってみないと実感しにくいと思いますが、コミュニケーション不足が精神病へ繋がることも多いです。私は、問題になっている「追い出し部屋」など、肉体への暴力ではないが精神への暴力として充分成立すると考えている。
あなたにとっての「自由」をどう得ていくか?
最低限必要な、社会との絆をどう築くか?
卒業後の次なる居場所をどう築いていくか?
「行く場所」と「帰る場所」
「人には『行く場所』と『帰る場所』が必要だ。」
私が本書を読んで一番、心に残った言葉だ。この「行く場所」と「帰る場所」の違いを認識できているかで、生きることを甘く考えているか否かが把握できるのではないだろうか。
結婚を人生の目標に掲げる男子学生も、玉の輿を目指す女子学生も「帰る場所」を得たいと言っている。
(中略)
でも、「行く場所は?」
ぜひ、目標を結婚したい・主婦になりたいと考えている人は、もう一度「行く場所」についても考えた上で結婚・主婦を人生の目標に掲げてほしい。
現在、一般家庭で起きている不幸な事例は「行く場所」と「帰る場所」のどちらかが無かったり、バランスがおかしかったりすることが原因なのかと考えている。
早く死にたい
彼女の書いたコラムで、「生きる」=「活きる」とは「成長する=成長実感を持つ」こと。成長を諦めて、捨てた人は「死んでいる」のに等しいのではないか。という感想メールが読書から届いており紹介されている。
「楽しく生きたい」という若者はイコール「早く死にたい」という若者。だから、放っておけない。
と感想メールを綴じている。
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「第1章、「働きたくない」というあなたへ」には、他にもたくさんの話が書かれている。
感覚的には理解していた「行く場所」と「帰る場所」は言語化された。そのため、生きる上で、壁にぶち当たり新しい選択肢を迫られたとしても「行く場所」と「帰る場所」を作るために自ら動くだろう。
「企業」もそうだが、「人間」も成長し続ける人が魅力的なのだろう。どれだけ、能力があろうと成長し続けるモノのほうが魅力的。「早く死にたい」というコラムには他人が真似したくなる生き方の方法が詰まっていると思った。
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- 作者: 山田ズーニー
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/08/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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