紙のライオン
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
沢木耕太郎というノンフィクション作家を知ったのは、仕事の関係で「紙のライオン」を読むことになったためだ。
綿密な取材を通して事実を客観的に叙述する文学の一ジャンル「ルポルタージュ」。その方法論について、模索し書き続けた彼の語る「文章を書く理由、方法」が記されている。
本サイトを作るきっかけの一冊である。「紙のライオン」を39ページまで読んで「ネットのライオン」を決心した。
仕事として、ニュース、ジャーナリズム、文章を書く当事者ではないが身近な距離で関わっている者としては、書く機会を作らざる終えない気持ちを授けてくれる一冊だ。
文章を書くことは遠吠えで過ぎないのではないか。あなたは何のために書くのか。気づかないふりをすれば悩まずにすむ根源的な問題に彼は手をつけている。
紙とネットにある壁。読んでいるものにとっては「文章をどちらで読もうと関係ないだろ」と思うかもしれないが、書いているものには勝手がまったく違うのだ。
ネットの文章も変わらなければならないと考えている。どのように変えるべきなのか考えるに彼の考えた問いをわたしたちも考え通り抜けなければならない。
根源的な問題から方法論まで、ネットの中で文章を書く君も覚悟があるなら手にとって考えてほしい。
[もくじ]各章への感想
紙のライオン(*方法)
- 虚構の誘惑
- なぜ「わたしら」を書くのか
- 視ることの魔
- 完成と破壊
- 取材以前
- 肖像を刻む
- ニュージャーナリズムについて
- 積み木のように
- 方法への冒険
- さまざまな「金閣」
- 可能性としてのノンフィクション 自作を語る
- 再び、ニュージャーナリズムについて
- 武器としての寛容さ
- 事実という仮説
アスファルトの鼓動(*時代)
- 匂いと挿話
- 小さい巨像、大きな虚像
- 著作としての日本列島改造論
- 日記による銃後
- センチメンタル・ジャーニー
- 詐欺師の楽園
- 悪役をつくる
- 死の影
- 寵児
- 葡萄酒と心意気
- 顔
- 海賊